怪しい電話 撃退せよ!!
事件で使われた番号 着信拒否
主に高齢者からお金をだまし取る振り込め詐欺や悪徳商法の被害の多くは、自宅にかかってくる一本の電話から始まる。最大の防御策は怪しい電話を遠ざけること。最近はさまざまな工夫をこらした機器が登場している。
防犯機能にそなえた機器 続々
過去に振り込め詐欺事件や悪徳商法などで使われた電話番号からの着信をブロックする装置もある。名古屋市のシステム会社トビラシステムズが開発した。電話会社の発信電話番号通知サービスを活用し、かかってきた電話が安心かどうかを判断する。
警察庁や消費生活センターから情報提供を受け、随時更新されるデータベースに蓄積された「迷惑電話」の番号は現在約2万件。その番号から着信すると着信音は鳴らず、ランプが赤く光る。同社が昨年実施した調査では、電話機500台が1ヶ月間で受けた着信のうち19%がデータベースの番号と一致したという。
装置には「許可」「拒否」のボタンがついていて、通話中や切った後に「許可」を押すと電話番号が登録され、次からは青いランプが光る。
「拒否」を押すと、データベースに登録されていなくても次から赤いランプが光る。月額の利用料は契約のタイプによって最安300円(税抜き)。初期費用2千円(同)がかかる場合もある。
神奈川県の会社員男性(45)は昨秋、愛知県の実家にこの装置をつけた。3年前に父が亡くなり、72歳の母が一人暮らしをしている。
きっかけは1年ほど前の出来事。実家への電話がなかなかつながらなくなった。母に聞くと「変な電話がかかってくるから取らなかったの」。
装置の設置後は、母が迷惑電話に悩まされることはほとんどなくなった。男性が電話した時は青いランプが光るので、母も安心して取れる。
着信記録を神奈川の自宅などでパソコンで確認することも可能だ。「許可」「拒否」ボタンが押されると男性のスマートフォンに通知が届く。男性は「母の日々の様子もわかるので安心です」と言う。
過信は禁物
固定電話用の防犯商品が増えてきたことについて、詐欺事件などに詳しい立正大学の西田公昭教授(社会心理学)は「正直、遅かったという感じは否めないが、単に『注意して』という精神論ではなく、機会でリスクを減らす手法は理にかなっている。転ばぬ先の杖の一つにはなるのではないか」と話す。
ただし過信は禁物だ。「録音予告機能が一定程度効果を上げているのは、まだ機器が普及していないから。今は、犯罪者グループが『面倒くさい』と避けているだけ。今後は録音されているのを承知でかけてくる可能性もある」と話す。
朝日新聞 日刊 2014年(平成27年)4月3日 金曜日