トビラシステムズ(名古屋市中区)は企業の社内システム開発を手掛けている。美容室向けのCTI(コンピューター・テレフォニー・インテグレーション)顧客管理システムなど、オリジナル商品もリリース。その一つの迷惑電話フィルタ「トビラフォン」は、発売当初はかなり苦戦を強いられた。だが今や、同社の看板商品に成長している。
トビラフォンは、迷惑電話を自動で着信拒否するサービス。「振り込め詐欺」対策としても有効である。かかってきた電話が迷惑電話かどうか、判別する元になっているのが、迷惑電話の番号リストのデータベース。電話機につなぐと、インターネット回線を使い、電話番号を過去データと照らし合わせて迷惑電話か否かを判別する。 迷惑電話の場合、着信の赤ランプが点灯する(音は鳴らない)。赤ランプ対象以外は黄 ランプが点く。ユーザーが大丈夫と登録した番号の場合は青ランプが点く。 データベースは、サービス利用者からの情報や、迷惑電話の情報サイトの情報から作成している。これに、提携する29都道府県の警察から提供された迷惑電話の情報も加えている。
明田篤社長の祖父に迷惑電話がかかってくることが多かったことから、トビラフォンの開発を決意した。
「電話に出る前に拒否してしまえば、振り込め詐欺対策になる」と考えた。 開発するうえで最も苦労したのは、データベースの構築だった。警察はすぐには協力 してくれなかったため、自分たちでさまざまなサイトを調べ、手作業で少しずつ情報 を集めた。約7千件の電話番号でデータベースを構築して、2011年にサービスを始めた 。
明田社長は技術者であり、開発することよりも販売していく段階で、さらに苦労があった。トビラフォンは従来はなかったシステム。その仕組が理解されず、認知されることが難しかった。普及をあきらめかけたこともあった。「その点はいまだに苦労している」と振り返る。
だが、12年に愛知県警察で実証実験が始まり、これが転機になった。実績があるため、警視庁も協力してくれるようになった。地道に警察と連携の実績を積み、広く認知されるようになった。ユーザーが増えると、そのユーザーからの情報も集まるようになり、データベースを拡充。迷惑電話を判別する精度をさらに向上していった。 14年12月にはアプリケーションも開発し、スマートフォンでも迷惑電話を撃退できる 。さらに15年6月には電話回線モデルを新発売した。
トビラフォンの機能を搭載した電話機も家電メーカーのシャープから発売されている。今後は、電話機メーカーとのタイアップもますます進めていきたいという。
中部経済新聞 日刊 2015年(平成27年)12月25日 金曜日