振り込め詐欺や金融商品取引詐欺など特殊詐欺の被害額が昨年、過去最高となった。金融期間の職員による声掛けで被害を未然に防いでいるケースも増えているが、現金を手渡しにしたり、郵便で送らせたりと手口は年々、巧妙化している。そんな中、事件の入り口で使われる電話に着目し、被害を防ぐ機器が登場している。利用者は「不審な電話がかかってこなくなった」と効果を実感している。
怪しい電話自体を自動的に拒否する装置もある。
名古屋市のソフトウェア開発「トビラシステムズ」が販売している「トビラフォン」は、警視庁や埼玉、千葉県警などから提供される振り込め詐欺などに使われた電話番号の情報を蓄積し、その番号からの電話をつながない。
2011年6月から販売を始め、現在は約26,000件以上の電話番号の蓄積がある。
使い方は装置を電話機とインターネットに接続する。インターネットに接続できない世帯向けには通信会社「ウィルコム」(東京都)の「迷惑電話チェッカー」という装置もある。PHS回線を使ってトビラシステムズの蓄積情報を利用する。
料金はトビラフォンが初期費用2,000円(税抜き)と月額300円(同)、迷惑電話チェッカーは初期費用なしの月額667円(同)。
2つの装置は3月、全国の3,000世帯で実証実験に使われ、約10,000件の電話をブロックしている。
2年前から利用しているという名古屋市の男性(79)は「以前は投資を持ち掛ける電話がしょっちゅうかかってきたが、今はほとんどかかってこない」と話す。
両装置には「拒否」ボタンがあり、通話中や通話後にボタンを押して、番号を自動拒否に設定できる。一度登録した番号は、それ以後は自動的に拒否する。
トビラシステムズの明田篤社長(33)は「設置するだけで26,000件の電話番号を拒否できる」とメリットを強調している。
中日新聞 朝刊 2014年(平成26年)5月8日 木曜日