シャープは振り込め詐欺対策機能を搭載したファクシミリの上位モデルとして、不審な電話を自動で判別し着信を拒否する業界初の「迷惑電話フィルタ」を搭載したデジタルコードレスファクシミリ「ファッピー」2モデルを9月11日から発売した。「迷惑電話フィルタ」は、トビラシステムズが提供する有料サービスで、警察や自治体などから提供された迷惑電話番号情報をもとに作成したデータベースを活用し、振り込め詐欺や悪質な勧誘電話などを自動で判別し着信拒否するもの。データベースは電話回線を通じ毎日更新され、最新の迷惑電話の着信も拒否することができる。また、「メール通知機能」を使えば、離れて暮らす家族も着信拒否した件数などを確認できる。「自動聞いてから応答」や「あんしんLED」、「自動通話録音」など、振り込め詐欺対策に役立つ7つの機能を搭載した。大型液晶の採用やファクシミリの基本操作手順を簡単にプリントできる「操作ガイドプリント」、ワンタッチで通話音量を大きくできる「音量大」ボタンなど、使いやすさを追求した。8月25日、東京支社で行われた発表会にはモバイルソリューション事業部の辰巳剛司事業部長とトビラシステムズの明田篤社長が出席した。
振り込め詐欺を含む特殊詐欺の被害は、警視庁発表の通り14年度は過去最高の約566億円にも上がっています。認知されているだけでも約13000件、過去最悪で年々増加している状況です。1人あたりの被害額も上半期で300万円になっており、年齢層は60歳代以上が85%にも上がっています。そしてなぜシャープがこのような対策に取り組んでいるのかというと、固定電話の購入者層で60歳代以上が70%を超えているからです。 つまり、被害者層と電話機、ファクシミリの購入者層がおおよそ一致しています。そして振り込め詐欺のほとんどが固定電話回線の一本の電話から始まっていることを考えますと、これに対して我々が振り込み詐欺対策を行う大きな理由になっています。これが取り組みのスタートポイントになっています。 また、昨今の銀行や自治体の啓蒙活動もあり、銀行振り込みをさせない傾向にあります。現金を直接受け取ったり、郵送したりなど、手口がいたちごっこになっているのが現状です。ただし、手口が変わってもほとんどは一本の固定電話から始まっているということから、さらに対策を強化していくことが必要だと考えています。その思いを基に、今年2月に振り込め詐欺対策としてファクシミリUX-AF90と電話機JD-AT80 の2機種を商品化しました。
新製品を紹介します。振り込め詐欺で、電話の発信元の番号はとても多いです。インターネット上でもこの情報は共有され、日夜増えている状況です。今までの取組みで、現行機の7つの機能の1つに、この番号があやしい、危険だという番号を簡単に登録する機能がありました。しかし、この機能は一度かかってこないと登録できませんでした。自分で作るブラックリストにもおのずと限界があります。今回の新機種は、安心して電話を使うために、迷惑電話フィルタサービスを搭載しました。 振り込め詐欺に遭わないための3つの条件の1つに、「あやしい電話に出ない」がありました。これに対して、おおきな安心LEDであるとか、非通知お断りという防止策はありました。しかし、そもそもかかってきた電話に出ないためにはどうしたらいいかと考え、あやしい電話にユーザーを出させない仕組みを搭載しました。迷惑電話の番号そのものをフィルタしてシャットアウトするために、迷惑電話フィルタサービスの提供にいきつきました。迷惑電話フィルタサービスについては、トビラシステムズの協力によって今回の商品を発売する経緯となりました。
新商品は迷惑電話フィルタサービス機能を本体に内蔵しています。このような詐欺対策ボードがない商品ですと、何も妨げになるものがなく、かかってきた電話にお客様が出てしまいました。2月に発売した現行機では、かかってきた段階であやしい電話には出ないという7つの機能があります。そして、これらを通り抜けてくるものがあったときは、赤く表示されます。 一方、迷惑電話フィルタサービを搭載した新商品では、まずかかってきた段階で新機能に基づいてかかってこないようにします。もしそれをすり抜けた番号でも、現行機の機能でもう一度警戒します。それによって、ほとんどシャットアウトできると考えています。ユーザも迷惑電話がかかってきたことに気がつきません。つまり現行機の機能と新しい機能で迷惑電話をブロックすると考えていただければと思います。 では迷惑電話の番号のリストはどのように更新するかというと、サーバーに入っているものは毎日更新されます。それを今使っている電話回線に電話機やファクシミリ本体に接続するだけで、最新の迷惑電話番号リストを定期的に更新できます。これによってユーザーも安心して電話機を使えます。新機能を使えば、一般的に20件中15件の割合でかかってくる迷惑電話をブロックし、そもそもかかってこないようにすることができます。 また利用後の話しになりますが、あまりにもかかってこないので本当にブロックされているのかユーザーが心配になられることもあるかと考え、迷惑電話をブロックしたものをリストアップして表にし、指定されたアドレスにメールを通知するサービスも併せて提供します。
新製品のフィルタサービス利用は紙やウェブで申込みすることなく、本体を電話回線に繋いだ状態ですぐに利用できます。また、電話回線を利用するだけで最新の迷惑電話リストに自動的に更新されます。ただし、利用にあたっては相手の電話番号が分からない限り、このサービスが利用できないので、ナンバーディスプレイに代表される発信番号表示サービスの契約は大前提となります。その上で毎月最大で400円の料金が安心料として発生します。これは毎月の通話料と合算して請求されます。クレジットカード課金や特別な振り込みなどは必要とせず、電話回線のみの契約でそのまま使える形になります。 ファクシミリは9月11日に店頭に並ぶ予定です。電話機は現在開発と生産の準備を進めており、年内の発売を予定しています。
電化新聞 週刊 2015年(平成27年)9月14日 月曜日