最近、自宅などで固定式として使う電話の分野では、高齢者向けともいえる新機種や新サービスが続々と登場している。
PHS事業を行うウィルコムでは、今年12月より「イエデンワ(価格未定)」の販売を予定している。イエデンワはPHSでありながら、外見は自宅やオフィスにある固定電話風の電話機だ。この商品は、ウィルコムが現在展開中の2台目以降、最大3台まで月額使用料1450円が不要となる「もう1台無料キャンペーン」促進の一環として誕生したもの。
電源はACアダプターと乾電池の両方が使えるため設置場所を選ばない上に、災害などで起きる停電時でも利用できる。昔ながらのデザインを採用することで、誰でも簡単に使える点も同商品の特徴のひとつ。離れて暮らす両親などとの固定電話にかわる通信手段として重宝しそうだ。
振り込め詐欺や悪質な勧誘電話の被害にあっているのは、多くの場合が高齢者である。そこで登場したのが、固定電話に取り付けるだけで、自動的に迷惑電話を撃退してくれる装置「トビラフォン/トビラシステムズ(愛知)」。トビラフォンはインターネット回線で、これまで振り込め詐欺などに使われた電話番号をデータベース化したサーバーとつながっており、かかってきた電話番号を瞬時に照合。その後、独自に判定を行いLEDの光の色で安全度を表示する。同装置が迷惑電話と判定すれば、着信音はしない。万一電話に出ても、着信拒否ボタンを押せば迷惑電話として新規登録ができ、その情報はデーターベースにも加えられる。利用料金は1ヵ月315円。
加齢とともに聴力が弱り、普通の電話機では聴き取りにくいケースに対応するのが、“骨の振動で音を聴く”骨伝導を利用した電話機だ。なかでも便利なのが、骨伝導受話器「きくテル」。受話器部分を同商品に取り替えるだけで、いまあるほとんどすべての固定電話機を、簡単に骨伝導タイプへと変更できる。同商品を手がけるのは、日本の警察、消防を始めアメリカ軍関係にも各種骨伝導商品を納入するなど、その技術力には定評のあるテムコジャパン。価格は、インターネットの通販サイトで1万1800円から販売されている。
若者にとって便利な携帯やスマートフォンも、高齢者にとっては使い勝手が悪く感じられることもある。高齢化社会では、高齢者から見た“高機能電話”にもニーズがありそうだ。
(加藤 秀行 、 阪神 裕平)
Yahoo!ニュース 2011年(平成23年)10月30日 日曜日